関東大地震はいつ可能性?首都圏直下型の予想や東京確率と周期は?

東日本の大震災以降、日本の各地で噴火や大きな地震が立て続けに起きています。



口永良部島、浅間山も噴火しました。



首都圏や関東に住む方にとっては、いつ関東に大きな地震が来るのか?気になりますね。


ks5


テレビでも首都圏の地震についての被害の恐ろしさが繰り返し情報が出ています。



もちろん関東での大きな地震に備えて準備や心づもりをして、備えは大事ですが恐れすぎるのも大変です。



このページでは冷静な見方を紹介したいと思います 。



心配な方に知識をつけてもらえるよう、関東の大地震のタイプと周期からわかりやすくお伝えできればと思います。



首都圏の大地震の可能性とよくある誤解について

過去300年の南関東の直下型地震の死者数



現状でいつおこるかについては



・関東でのマグニチュード7クラスの地震はいつおこってもおかしくない状態



・M7クラスの地震は30年以内に70%の確率でおこる




と言われています。




ここで特にお知らせしたいのは



・南関東の地震の歴史から、M7クラスの地震がきても、被害は死者が30人未満の中程度の地震が多かった。





心配にさせるような『巨大な被害』はあくまで「最悪の想定」かも?

(もちろん最悪の最悪が首都東京でおこりうる可能性もありえます)





過去の関東の大地震を調べれば



・南関東のM7クラスの直下タイプの地震はここ300年で9回あって、死者が100人を超えたのは1回だけだった



残りの8回(割合にして88%)は死者30人以下です。


さらに関東の大地震の9回中の6回は10人以下の死者数です






もう1つ誤解しやすい点は



東京つまり首都東京への直下地震が30年以内に70%の確率でくる 



→ではなく



南関東(東京、神奈川、茨城、千葉)のどこかでマグニチュード7クラスの地震が来る


と考えるべきでは、



です。

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『やばい大地震がきて首都が壊滅するんじゃないか?会社や学校や遊びで東京に行くんだよな~、怖いな』


と心配している方もいると思います。



マスコミやネットでも怖い情報が出ています。




マグニチュード(M)7クラスの首都直下地震が、今後30年以内に発生する確率は70%程度と予測されている。


内閣府が発表している対策概要によると、建物の全壊棟数、および火災で焼失する棟数は約85万棟、そして負傷者数は21万人、死者数は約1万1000人との予想だ。

→出典



ですがこれ、首都=東京に70%の確率で来るのでなく、南関東のどこかにM7クラスの地震が来ると考えるのが正しいのでは?、です。




上のニュースのように『30年以内に70%』と、『想定されるケースの1つ・首都東京への最悪の大地震の被害』がごっちゃに混ぜ合わされ


ちょっとデータが独り歩きしている感もある気がします。



もちろん天変地異に絶対はないので最悪の事態もありえます。そのための備えはしておくべきとも重要だとも思います。




地震学者の考える首都圏の意味は、1都7県のこと。首都圏=東京の真下では必ずしもない



ks8


このことは東京大学の教授もおっしゃっています。



これはかなり誤解されていると思われるのですが、我々が想定している首都圏の範囲は、1都7県、南関東全域です。 




首都とつくから東京、つまり東京駅や丸の内、新宿や渋谷の都会のど真ん中が震源の地震がくるんじゃないか、



それが30年以内に70%ヤバイよ、と思ってしまいがちですが、実は地震学者の方の考える首都圏というのはもっと広い意味だったですね。



それは関東全域、東京・埼玉・千葉・神奈川からさらに北関東の栃木・群馬、茨城と山梨県の一部が当てはまります。



関東の全部だったら広く感じます。



もちろん東京や神奈川の都会のど真ん中が震源になりうるかもしれませんが、関東は広いのでそれてくれて人が少ないエリアでおこる可能性もあります。




関東の地震発生の2パターン




ひとくくりに『関東の大地震』といっても、2つのパターンがあります。



・タイプ1 

関東大震災タイプ     被害が甚大だが次は西暦2100年代か?



・タイプ2 


直下地震タイプ  → 来そうなのはこっち



の2つです。


このうち、いつ来てもおかしくないのは『タイプ2の直下地震タイプ』になります。


タイプ1はなぜ可能性が低いかを説明します。




1番被害が出る関東大震災タイプ(1923年 死者10万人、M7.9)は

30年以内に来る確率は5%以内?。次くるのは22世紀ごろの可能性?



大正時代におきた関東大震災


日本の災害の歴史で見た場合でも、1番の被害を与えた災害です。首都が焼け野原になり、火災が飛び火して10万人を超える方が亡くなりました。


ks3


非情に恐ろしい地震です。この関東大震災タイプの発生の原因は



・フィリピン海プレートの上の境い目が揺れて発生する地震

になります。



しかしこのタイプの地震がここ30年で起こる確率は低いとされています。


理由はこの種類のタイプの地震発生の周期は200~400年周期と長いスパンでおきています。


過去の歴史を振りかえればこのタイプは



・1703年 元禄関東地震 死者1万人超

↓ 220年後

・1923年 関東大震災  死者10万人超



このように200年くらいの長い期間をかけて起きています。



直近では約100年前の1923年に起きてますから、次くるのは早くて100年くらいの先、つまり西暦でいうと2100年代なのではないか?と考える説もあります。


またこのタイプは、いきなりドカンと突然くるというより、次にお話しするマグニチュード7クラスの『直下タイプの地震』が頻発して起こった後に来るパターンが多く、



そのため可能性は低いと考えられています。




実際に1703年の元禄地震と、1923年の関東大震災の時も来る前にM7クラスの地震が何度かありました。




1923年の関東大震災の前に、M7クラスの地震が8回もありました。



関東での大地震というと代表的なのは「関東大震災」がイメージされますが、



東京都や中央防災会議が問題にしているのはこのタイプ1でなく、タイプ2の直下タイプの地震です。


このことを理解しておきましょう。




しかし大地震はオリンピックのように4年に1回と決まっておこるものではないので、



大正関東大震災から100年過ぎて、まだ残り100年あるや~と思っていても、確実に100年間は起こらないと言えないのが地震予知の難しいところです。




ただこのパターンでの危機はさほど差し迫ったものではない、というのが大方の意見となります。

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次に南関東の地震の歴史と、タイプ2の直下型タイプの地震を考えていきます。




南関東のマグニチュード7以上の地震の歴史





・南関東の地震の歴史

1703年 元禄大地震(震源:千葉県房総)  死者1万人超  M8.2  タイプ1



1782年 天明の小田原地震(神奈川県)   被害は小   M7


1853年 嘉永の小田原地震(神奈川県)   死者 24人 M6.7


1855年 安政の江戸地震(東京都)     死者1万人超  M7


1894年 明治東京地震(東京都)      死者数 30人  M7


1894年 東京湾(東京都)         被害は小  M6.7


1895年 茨城県霞ケ浦南部(茨城県)    死者 9人   M7.2


1921年 茨城県竜ヶ崎南部(茨城県)    被害は小   M7



1922年 浦賀水道(千葉県)        死者2名    M6.8


1923年 関東大震災(東京都) 死者10万人超  M7.9 タイプ1


1987年 千葉県東方沖(千葉県)      死者2名    M6.7


↑タイプ1と表記したもの以外はタイプ2の地震




このような時系列で南関東のM7クラスの地震がおきています。



ks4


読み解けるのは



・M7クラスの地震はタイプ1の大地震をのぞく9回をカウントすれば



神奈川で2回、千葉2回、茨城2回、東京3回と南関東の各県に散っている



→首都東京だけでM7クラスの地震が起きてるのではない。実際は南関東の各県に散っている





・さらに9回のM7クラスの直下型タイプの地震のうち、甚大な被害をもたらしたのは



安政の江戸地震の1回。



他は死者が30人以下の中規模の被害となっている


点です。




このことから首都圏の地震をポジティブに考えたとすれば




・中央防災会議や東京都が示した「とてつもない被害の想定」と似た地震は



ここ300年で9回中で1855年の安政の江戸地震の1回だけ

(上の表 タイプ2の直下型タイプの中で)




たしかに周期を見れば下で計算してますが、M7クラスの地震が来るのは30年に1回になるのですが



死者が100人を超えたのは、300年に1回しか起きなかったです。




かなりの高い確率でM7クラスの地震が南関東に来るでしょうが、上の9回の直下型の地震(タイプ2)を見れば




M7クラスの地震が来たとしても、安政の大地震以外の9回中の8回のように(割合では88%)、死者が少数名くらいの


中くらいの被害ですむ可能性もありうるかもしれません。




また同じ地盤にあったり今の東京は人口密度が多いとはいえ、江戸時代と現代の建物の強度や火災防災の体制を比べたら、現代の方が高いわけですから



江戸時代の死者数と、まったく同じ地震が現代で起きた時での、死者数は比較できないとも考えうるでしょう。



しかしだからといって最悪の想定をはずして楽観的になるのもダメだと思います。




政府が「最悪の事態」をアナウンスするのは、国家は国民の生命を守るのが役目で最悪のことを想定してアナウンスするのは正しいです。




おこった場所が首都の真下なら阪神大震災のような被害をもたらす可能性もありえます。




現にまったく想定もしえない東日本大震災がおこって大きな被害を与えています。しかし過去の歴史のデータをみるとこのようになっているのも理解しておきましょう。





南関東に30年に70%の確率で大地震が来る、の意味



気象庁でも下のようにアナウンスされてますが


南関東にこれらのM7クラスの地震が発生する確率は、過去に発生したM7程度の地震の発生回数などから今後30年間で70%とされており、


中央防災会議でも首都直下地震を想定した被害の推定や対策が検討されました

出典:気象庁


『30年に70%の確率で』の30年の意味ですがこれは下のように計算されています。



タイプ1の元禄の大地震から関東大震災までに起きた、タイプ2の直下型地震のタイプ8回分の起こった地震の周期を


平均値をデータにして30年に1回としました。




あくまで平均の周期ですから実際にはバラつきがあって、


1年もたたないうちにM7クラスの地震が頻発していた時期もあれば
71年間も大きな直下地震がこなかった時期もありました。




さらに東大の地震学の教授も


30年以内で70%程度 またここで30年という数字が使われていますが、これは目安として区切られた期間ということで、


それ以上の意味はありません。



とおっしゃっています。




私たちが知っておきたいのは、この『30年』という数字に引っ張られすぎないことです。



30年という数字は示しやすかったからこのように計算しただけで、



サッカーのワールドカップみたいに規則的に、30年に1回ずつ関東に大地震がくる、という意味ではないです。



過去の大地震の歴史でも


1894年 東京湾(東京都)          M6.7

   ↓1年後

1895年 茨城県霞ケ浦南部(茨城県)     M7.2



1921年 茨城県竜ヶ崎南部(茨城県)      M7

   ↓ 1年後

1922年 浦賀水道(千葉県)         M6.8




上のようにM7クラスが1年おきに連続してきている時期もあります。


むしろ関東に大きな地震がきたら、今年きたから当分ないやでなく、連続しておこる可能性も知っておかないといけません。



首都圏での地震の予知は難しい



首都圏での地震予知は難しいと言われています。




理由は東海地震は気象庁が予知活動を行っていますが、東海地方のように数十メートルの近さに堆積層があると、



その下の岩盤のひずみの変化をとらえることで予知しやすいです。



しかし関東地方は深さが数キロも下に堆積層があるため、ひずみ計という計器を設置するのに莫大なコストがかかる点です。



さらにM8の関東大震災クラスでなく、M7クラスの地震だと、



規模が小さくプレスリップと呼ばれる「ずれ」を正確にとらえるのが難しい点から予知が難しい。



他にも東海地震のようにプレート境界地震というタイプが「この場所でおこりそうだ」という候補の絞り込みができにくいのもあります




地震の活動期に入った日本列島

関東で戦後、大きな地震の被害がなかったのは奇跡的かも



ks6


関東地方は実は世界的にみても地震の大発生地帯に位置しています。



茨城県南部は『地震の巣』とも呼ばれています。


震源の茨城県南部は「地震の巣」(長谷川課長)と呼ばれる地震の発生頻出地点で、過去にもM6程度の揺れが頻繁に観測されている

→出典



むしろ戦後、首都東京で大きな地震で被害がなく経済発展を遂げることができたのは運が良かったと考えられるかもしれません。



また過去の歴史から見れば、南関東のM7クラスの大地震の回数は



1800年代は5回


1900年代は4回



おこっています。このことから私たちが生きる2000年代にも数回の大きな地震が来る、と考えておくのが妥当かもしれません。



100年ごとでみれば、5回・4回とそれぞれ起きているからです。次の2000年代だけおきなかったとはなかなか考えにくいです。




もちろん規則性はないので2回になるやもしれませんし、6回かもしれません。




ですが日本列島や関東の地質が大きく変わっていないので、同じようにエネルギーがたまって大きな揺れを引き起こす可能性は



十分にありうると考えておいた方がいいかもしれません。


さらにすでに


1987年 千葉県東方沖(千葉県)  死者2名    M6.7

2015年6月  小笠原諸島西方沖(東京都)  死者なし  M8.5



と大きな地震がおきています。


2015年になってから小笠原諸島沖でM8.5という非常に大きな規模の地震もありました。幸いにも震源がかなり深かったので被害はほとんどありませんでした。



1987年の千葉県沖の地震をもって、次の関東大震災タイプの地震の前の、数回のM7クラスの地震がおきる活動期に入ったと考える学者もいます。備えと心がまえはおこたれません。
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