軽減税率のデメリットと問題点【わかりやすく解説】

消費税の10%へのアップと同時に始まるであろう「軽減税率」



与党で連立を組む政党さんはさきの衆議院選総選挙で政策の最優先としてあげています。



食料品の消費税は10%にはならない!


スーパーで夕飯で買う食料品は消費税が上がらない


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たしかに一見するとよさそうなのですが


実は問題点がさまざまあるんです。




ヨーロッパのEUは軽減税率を50年前から導入している国もありこの政策の先輩でもあります。



しかし後からEUに加盟する国は「軽減税を導入するかしないか」選択ができるのですが


問題点を知っているので導入しない国が多いんです。




EUの加盟国全体のうち



軽減税率の導入国  VS  しない国


の比率はなんと



50 対  50


で半々にまでなりました。




なぜならイギリスやドイツの軽減税率をはじめに導入した国々で



問題が頻発して「導入しないでちがう低所得者対策やった方がいいじゃん」という考えが占めているんですね。



新聞やニュースでは語られることがない軽減税率のデメリットをわかりやすく解説していきたいと思います。




軽減税率の問題点まとめ



① 日用品の消費税を軽減税率で下げたら、消費税で入る全体の税収が大幅に落ちる




落ちた分を取り戻すために、消費税をさらに上げないといけなくなるかも



② どの品目を下げるかを客観的に平等に判断するかは難しい




  「あれは下げたなら、こっちも下げて!」と不満が生じやすい



③ 商品の価格決めは企業ごとの判断にゆだねられている




 円安、資材・原料コストの高騰、人件費のアップでむしろ原価が上がっているのだから、商品の値段が下がるか消費者に優しいかは疑問



④ 低所得者対策としては効果が薄め




軽減税率で得をする金額が大きいのは実は貧乏人でなく、たくさん買い物をする金持ちというウソのような話



⑤ 食品業界、日用品業界などで「軽減税率に自分たちの業界の品目も入れてほしい!」




と業界団体の政治家への圧力や活動が増える

 
 族議員を増長させる


 入った業界をえこひいきすることにつながるかも



⑥ スーパーやコンビニなどの小売業者の、適用にともっなった対応が大変




値札のつけかえ、レジのデータの入れ直し、事務コストが増す



⑦ 税率のつけ間違いが出るおそれ。完全に防ぐのは難しい




 まちがったのを返金やらで取り戻すのは大変



⑧ 税務署も大変。通達を送ったりちゃんと適用されてるかの税務調査への対応




「なんでウチの商品が軽減税率にならないんだ!」と税務訴訟が多発するおそれ



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② どの品目を下げるべきかの判断は難しい


僕はこれが1番大きい問題だと思います。




何を軽減税率の対象とする食料品とするかは非常に難しい問題なんですね。



だって食の好みや好き嫌いや食習慣は人それぞれですから。




1つ例をだします。


レストランやラーメン屋で外でご飯を食べる「外食」は、与党の部会で軽減税率の対象から

はずそうとする案がでています。



これなんかは僕はすごく困ります(笑)。だって1週間のうち自炊するのは1,2日で仕事が忙しいのであとは全部が外食ですから。



いわば外食が基本的な生活ときっては切れない、つまり食料品を買うのとおなじくらいライフスタイルにしみついてます。



・独身の方
・仕事で忙しい人

は外食で過ごす人は多いですよね?




吉野家の牛丼
立ち食いそば




自炊する野菜炒め用の野菜と豚肉

で例えば



前者が軽減税率の適用なしで


後者が食料品だから適用あり、になるかもしれないです。




ちょっと納得がいかない気がします(笑)


自炊するより外食の方が早いし安いしで助かってます。



他にもじゃあ吉野家の380円の牛丼には適用なしで



2万円もする高級メロン、100グラム3千円の超高級和牛の食料品には



適用ありで8%のままだったら、これまたおかしい話です。




さらに外食といっても



・病院や学校の給食や会社の社員食堂


といった公共性の高いものの扱いをどうするかといった問題もあります。




検討案をみても大変さがわかる



実は自民党公明党の話し合いでも議論がされてまして

話し合いで当初は下の8つのパターンでどれにしようかと検討されています。




①食べ物飲み物すべて


②お酒をのぞく


③酒と外食以外の全部の食べ物飲み物


④ ③にプラスしてお菓子も


⑤ ④にプラスして缶ジュース、ペットボトルのお茶など以外


⑥ 肉魚野菜の生ものだけ


⑦ 味噌 米  醤油 の主食に限る


⑧ お米だけ



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日常生活に不可欠か・10%になったら家計に大変そうな食料品・増税による不平等感をどれだけ減らせるかの基準で分けられようとしています。





しかし食生活なんて人それぞれですから、どのプランにしたとしてもぜったいにもめごとや不平等感があらわれます。




「俺は米は食わん!酒が主食みたいなもんだ」と思ってる人 →②



「チョコレートがなんで入らないの?チョコは私にとって主食よ」 →④



「飲み物ってなに? コーンポタージュの自販機にある缶は中にコーンが入ってるから飲み物じゃないよ。 →⑤


 マーボー豆腐は私にとって飲み物よ(笑)」



「チョコとライスを合わせた食べ物はお菓子じゃないよね?だって米が入ってるんだし」  →⑦



「醤油が入るのに、なぜソースや酢は入らないの?」  →⑦



「箱の中に和牛とお皿がセットになったお中元の箱はどうなるの?」  →①



「妖怪ウォッチの人形つきお菓子 500円」これを妖怪ウォッチの人形の部分とお菓子の部分に分けて課税するのか?どうやって金額を分けるのか微妙ですね。  →①




と問題になりそうなのがどれにせよ出てきます。数え上げれば切りがありません。




じゃあ手っ取り早くコメだけにしたらと思えば



コメが嫌いでパンやパスタで過ごしてる人は不平等だし



または、電子レンジで温めるだけのレトルトご飯



超高級米でウン万円もするのに適用してもいいの?と疑問が残ります。




さらに米だけならそもそも軽減税率やる意味あるの?と思われるでしょう。  →⑧



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④ 実はお金持ちの方が利益を得られる


給料が毎月200万円のお金持ちと、給料が毎月15万円でそんなに多くない人で



使えるお金には差がありますね。毎月にかかる食費にも差があります。




お金持ちの方が食費にもお金を使いそうですよね。




そもそも貧乏だったら高級な食材は買えませんし。




余裕があるお金持ちなら高級牛肉や伊勢エビや無農薬の野菜やら、高い食材がたくさん買えます。





給料が少なければスーパーの特売の安い魚や、消費期限すれすれで30%引きになった野菜とか食材も安いのにして切りつめないといけません。




例1

軽減税率が「お酒以外の食料品の全部に適用」となったらどうでしょう。




Aさん 給料15万円


Bさん 給料200万円





だったとします。



・Aさんがある日に晩御飯で買った食材 



 (卵100円  ハム 100円 で目玉焼き


  ほうれん草 150円でおひたし)



            合計 350円




350円の買い物をスーパーで買ったとします。これに軽減税を入れて消費税の差を計算してみます。



→・適用前の消費税 10%     35円    (350円× 10%)


 ・軽減税率8% 適用の消費税   27円  (350円× 8%)


 ・軽減税率で得した金額   8円  (35円-27円)



8円の負担を減らすことが出来たのが分かります。




次にお金持ちのBさんのある日の高級スーパーで買った食材です。



・Bさんの買った食材  


(すき焼き用の高級牛 5000円分  すき焼きの野菜一式 1500円)



            合計 6500円




→・適用前の消費税 10%     650円  (6500円× 10%)


 ・軽減税率8% 適用の消費税   520円  (6500円× 8%)


 ・軽減税率で得した金額   130円



・AさんとBさんの得した金額の比較  8円 < 130円  100円以上の10倍もの差



実は高級な食材をたくさん買える人の方が、税金が低くなる金額が大きくなるんですね。




軽減税率の目的は「給料が少ない人への対策」が1番にあります。



もちろんやることで低所得者への対策にもつながるのですが



それ以上に実は得をするのが、食費にお金をたくさん使うお金持ち、というのが上の例で分かる通り事実なんです。




「俺は金持ちだが食費にはほとんどお金使わないよ」という人もいるかもしれません。もちろんそうだと思うのですが



国の役所である総務省が


平成26年に家計に占める食費の金額の調査をしました。その時のデータでは



・年収が356万円以下の人の食費は 平均で年 49万円



・年収が840万円以上の人の食費は 平均で年 104万円




と倍近い金額であるのが分かっているんですね。




ですから軽減税率でうけられる金額も840万円以上の人の方が、理論的には倍近くあるんですね。



本当の目的である低所得者への対策に対して、その効果の薄さが心配されます。




① 税収が落ちる



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国の視点に立って考えてみます。消費税を課税することで得ている税収



コンビニ、スーパーで買うおにぎりや白菜やお菓子



つまり食料品が消費税の全体の収入に占める割合はおよそ25%です。




消費税の収入額が年間で10兆円あまりなので、およそ2.5兆円が食料品が占めているのです。




これを増税や軽減税導入でどのような収入額になるかシミュレーションします。



計算をしてみます




消費税の10%が導入、食料品の消費税は8%の軽減税率にした場合とそうでない場合の2つ




また課税される全体の金額を100とします。



・軽減税率なし  消費税10%アップのまま    100  × 10%  = 10



・現行の消費税 8%のまま   100 × 8%  = 8



・軽減税率を食料品に(8%で)  全体100のうち25は食料品(25%だから)



25× 8%  + 75×10%  = 9.5




となります。




消費税による収入は


・8 (消費税8%)  < 9.5(軽減税率) < 10(10%)



だとわかりました。




軽減税率をやると、8から9.5と1.5となり0.5分の減収となります。




「いや別に食料品が安くなればいいじゃん!関係ないし。消費税の収入なんて増えなくていいんじゃないの」


と思うかもしれません。




しかしもし収入が増えなければ、政府はまた「消費税の収入が増えないので、10%から15パーセントにアップします!」


なんて言い出すかもしれませんね。



消費税が5から8%に上がっただけで大騒ぎでした。これが10%からさらに上がるとなれば消費は心理的な面も大きいので「消費税上がるしやめとこう」と色んな商品で買い控えがおきたり、



高単価な商品の消費はさらに落ち込むかもしれません。




食料品ではない自動車や電化製品の消費税は上がってしまいます。



日本で調子のいい業界はトヨタ自動車に代表される自動車産業ですから、買い控えやクルマ離れがより加速するかもしれません。




国内でクルマが売れにくくなれば、ディーラーで働く人や工場の作業員の給料、部品をおさめる中小企業さまざまな関係者に悪い影響が及びます。




麻生大臣の発言とマイナンバーの還付案が出た理由



上で述べたようなデメリットがあるのも知っているため、税金の業務を所管し国のお財布を預かる財務省は 軽減税率をあまりやりたくない気持ちがあるんですね。




麻生財務大臣も


麻生財務相 安倍首相に異議「消費税軽減税率やりたくない。面倒くせぇもの


「いっときますけど、財務相は(軽減税率に)反対ですよ、本当は。だって、やれやれ・・・という人多いんだもん。だから問題なの。面倒くせぇって、みんないってるよ」


J-castニュース



麻生さんべらんめえ調でハッキリ言っちゃってます笑。そして突然出てきて大反対にあって撤回したマイナンバーとの抱き合わせでの軽減税率の還付案



「マイナンバーを使ってあとで還付する」案が示された



も上で述べたデメリットを、少しでも取り除こうとしての提案だったのがうかがえ知れます。




これはあくまで管理人の考えで、みなさんのご意見もあるかと思うので参考程度に 流してくださればと思いますが、単純に政策としての良さだけで考えた場合には



カナダで導入する「給付付き税額控除制度(所得の少ない人へ補償を行なう制度)」



が不公平感をおさえ効果があっていいんじゃないかと思いました。


マイナンバーを使うことには抵抗が大きいのでそれはせずにできたらいい気がしました。


この制度は簡単に言えば、所得の低い人に対して給付金で決まったお金を支給するものです。



一定の年収以下の人たちや一定の資産保有額以下の人たちに対して、定額で給付金を配る対策で、そうした負担緩和措置を行なうことのほうが軽減税率よりもはるかに望ましいのです

ニュースポストセブン



軽減税率をめぐる一連の流れはこのような背景があるのを知っておくといいかもしれません。



⑧ 商品によっては訴訟がおこる恐れ



すでに軽減税率を50年近く長く導入しているイギリスやドイツでは



「何でこの商品に適用されないんだ!」と裁判の訴訟になった食品があり



食べ物はどんどん新しいのが出来ますから訴訟がおきています。




例1  イギリス イギリスの伝統食「ティーケーキ」


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出典




紅茶やコーヒーと一緒に食べたらおいしそうですね。




このティーケーキ、軽減税率になるケーキなのか、ならないビスケットなのかで



裁判で13年も争われたんですよ。




うーんケーキとも取れないし、ビスケットともいえないし真ん中くらいにも思えます(笑)。



裁判の結果は、ケーキになって軽減税率を使っていいとなりました。




例2  ドイツ  座る席がないソーセージ屋

ドイツはソーセージが有名ですよね。



座る席がなく、店の店員がソーセージを焼いて販売するお店があったのですが、




その近くにお客さんが座れるベンチがたくさんあり、そこに座ってお客さんはソーセージを食べる人が多いお店です。




最初は裁判所が「客に座らせて食べさせてる」として、飲食店だとして軽減税率を認めなかったんですね。



でも裁判で争った結果、近くのベンチは公園のベンチみたいに店が用意したのでなく、市町村が用意したものだったので軽減税率が認められたんです。




こんな感じでどっちになるかでモメて裁判になる例が少なからずあるんです。



裁判費用やらで余計にお金がかかっちゃうんですね。



例えば日本だともめそうなのが



「あんぱんはパンなのかお菓子なのか?」



「甘酒は飲み物なのかお酒なのか?」 などがありそうですね。



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