トマピケティ21世紀の資本とは?【わかりやすく主張解説】

経済書として話題になっているトマピケティの21世紀の資本

「話題だから概要を知っておきたいんだよね」


という方になるべく平易な言葉でコンパクトに解説していきたいと思います。


2分で読める・何を言いたい本なのか


ざっくりといえば


・資本主義だと、金持ちがどんどん金持ちになる、貧乏人は貧乏なまま 

世界の各国で貧富の差がどんどん広がっていき、それは過去もそうだったし

現在と将来も広がってる、このままでは解決しそうにない


→資本主義には限界があるのではないか

というのを主張する本です。



この考えは思いつきそうですが、この本のすごいところは

1.200年ほど前の1800年代から20か国以上の税金のデータを集めてきて

GDP(1つの国が稼ぎ出した金額の全部。国内総生産)のようなちゃんとした経済のデータを取っていなかった時代からも統計データを集めて


歴史的にもデータでその主張を裏付けた点と



もう1つは分かりやすい公式



・ r >  g




という公式でそれを説明した点ですね。


r  >  g  の主張を要約すれば



・財産をもつ金持ち全体が、株式投資や不動産収入などでどんどん働かずにお金が増えていくペースと



労働者全体があくせく働いて経済を成長させるペースをくらべたら


前者の金持ちの財産が増えるペースの方が上である


だから財産をもつものと、持たない者の差はどんどん広がっていくし差は縮まらない




になります。


rは資本収益率  


gは経済成長率    になります。



rは4~5%

gは1~2%と述べられています。



資本?経済成長?という方のために、これもおおまかにいえば



rは投資家や大家さんや地主のように。 株や投資信託、不動産などの投資で得られる利益率は


年で4~5%の儲け。

r1


gは会社員が会社に行って働く、工員の人が工場で働くなどの、労働で働いて得られる



収入は1~2%のペースでしか給料は増えていかない


g1


rの方が高いですから


資本主義の世の中では


株や不動産投資などの投資をした時の儲けの率の方が


労働であくせく働いて、賃金が増えていく率よりイイ

だから投資をした方が金持ちになれる


例えば


Rが4~5%とでてますから


1億円分のマンションや株をもつ資産家が働かずに得られる収益は


1億円  × R 4~5%  =  400万円 ~ 500万円


年で400~500万のリターンが出ると分かります。

いっぽうで


日本の会社員の平均年収は409万円


計算上は


1億円の資産があれば、働かずとも、会社員の平均年収の分を稼げてしまう


となりますね。


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株やマンションの不動産をたくさん持てる、投資額を大きくしやすいのは金持ちの方が断然多いわけですから


投資ができる金持ちほど、さらに金持ちになっていく


投資するほどまとまったお金がない財産が少ない労働者、貧乏人は貧乏のまま


というのを表した公式です。

例として


マイクロソフトの創業者のビルゲイツ。彼は2008年に一線の仕事からは引退していますが、


90年代にあった約4000億円の彼の資産が、2014年には7兆円にもなっています。


実に17倍も増えています。働いてこれだけ増やすのは不可能ですよね。


ビルゲイツには息子と娘がいます。遺産相続がどうなるかはわかりませんが、仮にこれだけの資産を相続して投資で運用すれば、


もっと資産額が増えて働かなくていいですよね。それが代々受け継がれれば。。。

ビルの息子になりたい笑。それは冗談として


結論は


・ r   >  g   がずっと続くのなら


財産をもつ親が、子どもにその財産を代々と相続させていけば、子どもは相続したお金を投資にまわし働かなくてもお金が増えていく


どんどん格差は大きくなっていき


汗水たらして労働で働くのが馬鹿らしくなる、相続で親からもらった財産で投資生活を送った方がイイ


それが個人の努力と才覚でチャンスをつかむ、自由な競争をする民主主義社会といえるのか


このままだと2100年には金持ちか貧乏人かだけの格差社会で中産階級がだいぶ少なくなるよ


というのを主張しています。


そしてピケティが解決策として提示しているのが


・世界的に、お金持ちに税金をもっと課税せよ


タックスヘイブンのような税率の低い国に金持ちを逃がさないように同じ税率で課税せよ


金持ちの資産への課税と、相続税を強化せよ

と言っています。

これがこの本のおおまかな解説です。



トマピケティとはどんな人?



pikete1
出典:wiki

1971年フランス生まれの経済学者。現在43歳。フランス パリ経済学校の教授。


43歳という若さも驚きですが経歴も超エリートです。


日本でいう高校1年生の年齢で16歳で日本でいう大検にあたる

フランスの大学入学資格の「バカロレア」に合格。22歳で博士号を取得。


そしてアメリカのマサチューセッツ工科大学の准教授になって教鞭をとる

フランス国立科学研究センターなどの研究者をへて


2007年にパリ経済学校の設立にたずさわり、初代の代表となっています。


8年前ですから30代半ばで経済学校の代表とはすごすぎです。

ちなみに結婚しており奥さんは13歳年下の方だそうです。



なぜ売れた?


700ページ以上もあって価格も6千円。ですが日本で16万部を超えるベストセラー経済書としては異例の売れ行きです。


アメリカで人気に火がついてそれが日本にも広まったのですが

人気の理由は

・アメリカの「ウォール街を占拠せよ」に代表される金持ち批判の流れとマッチした


・アメリカのノーベル経済学者、元財務長官などの識者らが絶賛してそれが宣伝となった

だと思います。


アメリカで99%というプラカードをもって「ウォール街を占拠せよ」という運動がおきました。


これは「1%の富裕層が富を独占してる。99%の市民に所得の再分配(医療や教育や介護などでうまく


所得の高い人から低い人へ流すこと)がちゃんとなされてない。格差が大きい」

を訴えた運動でした。何でこんな運動がおこったかといえば、例えばアメリカの社長(=CEO)の年収は

けた違いに高いんです。いくらだと思いますか?


1位 56億 

2位 49億

年収が50億ってびっくりする金額ですよね。

アメリカは日本以上に貧富の差が激しいんですね。アメリカンドリームに代表されるように、


自分の努力が足りないだけ、自分たちもいつかそうなれるチャンスがあるんだ、と思っていたのに、


でも21世紀の資本で書かれたように、実はそうじゃなく、金持ちは金持ちのまま貧乏人は貧乏のまま。


99%の中産・貧困層の人が抱える不満がある中で、「自分たちの生活が苦しいのにはピケティの言うように


歴史的、経済学的な理由があったんだ」とフランスの超エリートの学者から700ページの本でデータで提示されれば「我が意を得たり」と根拠をもって

納得できますよね。それがベストセラーにつながった原因の1つです。


あとはアメリカのノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授や元財務長官のサマーズも絶賛したのも一役買いました。



日本のアベノミクスとの関係は?


アベノミクスの政策を、21世紀の資本のピケティの理論に当てはめればどうなのでしょうか?


アベノミクスとピケティの理論が完全に相いれないわけではありません。


・アベノミクスが目指すインフレ政策、経済成長はピケティの格差拡大をおさえるやり方とマッチしている


・しかし世代間の格差の大きさは問題。資産を多くもつ高齢者から、もたない若者への富の分配の流れは低い


それが社会を停滞させる原因の1つ

*日本の億万長者の平均年齢は72.6歳というデータも

続編書きました

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